舞台「NiHiL〜COLOR CROW another fate〜」

終わってみれば、あっという間の五日間でした。
まだやることは残っていますが、一旦NiHiLの感想を書きます。
長いです。

稽古も含めると約1か月。
五十嵐啓輔と杉江優篤が本番中のため、途中からの合流が決まっている中、それでも稽古ができるようなシーン作りを考慮して、脚本を書き進めました。
とはいえ、脚本家としてまだまだ経歴の浅い自分が、メインキャスト以外のメンバーにも声をかけ、「出てくれる人で最高に面白い話を作る!」と意気込んではみたものの、すぐに良いアイデアが出てくるわけではありませんでした。
内田裕也、村上幸平、五十嵐啓輔、杉江優篤、湯浅雅恭、小ka栗ショーン、岡将士。
この7人をどう動かせばいいのか――。
椿と大迫の若かりし頃を描くのか、それとも全く違う物語にするのか。
大筋の方向性が定まらないまま、時間だけが過ぎていきました。

そんなある夜、ふと目が覚めた瞬間に「百地は変装が得意」という設定が頭に浮かび、
「舞龍になりすます」という発想が降ってきました。
これは面白くなる!そう確信しました。
その後、小ka栗ショーンの出演が決まり、
「未来にタイムスリップしたYouTuberがカラクロの世界で問題を起こす」というアイデアへと発展。
自殺願望の強いYouTuber・Noiz.が誕生しました。
しかし、そのままでは“トクボウに取り押さえられて終わり”になってしまう。
再び壁にぶつかり、書いては消し、書いては消しの繰り返し。
そんな中で「催眠術系YouTuber」という要素が閃き、
“純粋な神楽だけは催眠術にかかってしまう”という構図が自然にハマった瞬間、
「これは絶対に面白くなる!」という確信が生まれました。

脚本を書きながら演出を考えるという作業は初めてでしたが、
各部署のスタッフさんに「初めての演出なので、やりにくいと感じたら遠慮なく言ってほしい」と最初に伝えていたこともあり、テクニカル面では思いのほかスムーズに進みました。
大変だったのは稽古です。
スタッフが多くいる現場に慣れている皆さんに、今回は小劇場・低予算という環境の中で協力してもらいましたが、私自身がやることも多く、椿のセリフをなかなか入れられませんでした。
プロデューサーとして、稽古場の鍵開けからクローズまで、掃除、ケータリング(飲み物・食べ物)など、できる限り皆が稽古しやすい環境を整えようとすると、細々とした作業が山ほどあります。
普段スタッフさんにやってもらっていたことのありがたさを、改めて痛感しました。

実は、パンフレットデザイン、劇中の背景映像、オープニング映像なども、基本的にはほぼ全て私が作りました。経費削減のためにです(笑)。
稽古をしながら稽古スケジュールを組むのも大変で、キャストのみんなにはストレスをかけてしまったと反省しています。
今回はクラファンを実施していたおかげで、通常より資金的に少し余裕ができたこと、そしてクラファン自体が宣伝になったことは本当に助かりました。
とはいえ、チケットの動きが落ち着いてくると、クラファン時ほどの勢いがなくなり、危機感も覚えました。
やはり若いイケメン俳優が揃っていないと厳しいのか…と一瞬思いましたが、
「間違いなく面白いものができている!」という自信を信じていました。
すると予想通り、いやそれ以上にお客様の反応が良く、リピートも増え、新規の申し込みも!
千穐楽にはとても良い雰囲気のまま幕を閉じることができました。
ご来場くださった皆様、クラファンで応援してくださった皆様、
そしてカラクロ古参、ひなぴの皆様――本当にありがとうございました!!

村上幸平くん。
居酒屋で提案を受け、「演出も自分がやる」と決めたところからNiHiLは始まりました。
小心者の私が、この作品を作る決断をできたのは、幸平くんの強い後押しがあったからです。
稽古中も常に私を気遣い、アイデアを出してくれる神のような存在でした。
主題歌『NiHiLythm』も、私の人生の宝物です。
メタリックストライカーユキオの曲も完成して本当によかったね。
最終日のカレー、あれは美味しかったなぁ。ありがとう、幸平。

五十嵐啓輔。
彼の演技力を知っていたからこそ、この脚本を書きました。
脚本の意図を読み取る力に優れており、特別な演出をしなくても、初日から見事な百地を演じてくれました。
彼がいたからこそこの作品は成立したと思っています。
そして何より感じたのが、「舞台上にいてくれるだけで安心する」ということ。
この人がいれば、どんな状況でも大丈夫だと思える。そんな存在です。ありがとう、啓輔。

杉江優篤。
稽古合流が後半と決まっていたので、出番を少なめに調整したつもりでしたが、
印象的なシーンが多く、実際よりも多く登場しているように感じるはずです。
パフォーマンスのインパクトが強い俳優。まさに“恐ろしい”ほどの存在感でした。
椿との初接触、「この郵便局まで」と名刺を渡すシーンの微妙な間合いが絶妙でした。ありがとう、優篤。

湯浅雅恭。
殺陣師も兼ねての出演をお願いしましたが、私が取った稽古場の天井が低く、ほとんど刀を使わず“エアー殺陣”で練習する羽目に…。本当に申し訳なかったです(笑)。
それでも本番では見事な殺陣師ぶり。
周囲の能力を120%引き出すセンスは圧巻でした。
Noiz.とのシーン、そして給料のシーン、どちらも大好きです。ありがとう、雅恭。

小ka栗ショーン。
とても真面目で、不器用で、でも人間味にあふれた俳優です。照れ屋だけど芯がある。
Noiz.というキャラクターは、そんな彼の内面をディフォルメしたような存在でもあります。
観た方は分かると思いますが、正直Noiz.が主役だったと思います(笑)。
日替わりのネタも多かったのに、彼はいつもその上を行くパフォーマンスを見せてくれました。
ありがとう、ショーン!

岡将士。
たくさんダメ出しをさせてもらいました。
稽古中、方向性をちゃんと示せていなかった部分もあったかもしれません。
それでもコツコツ努力を重ね、その成果がしっかり舞台に出ていました。
今回、最も成長した俳優はあなたです。
赤髪、似合ってたよ(笑)。ありがとう、将士。

音響、照明、映像、舞台監督、美術、大道具、メイク、衣装、制作、演出助手、劇場スタッフ…
この作品に関わってくれた全ての皆さんに、心から感謝しています。
もちろん、応援してくださった皆さんも。
どうか、このあとも「COLOR CROW」シリーズが続いていきますように。
そして、これからも応援していただけるように、私も全力で頑張ります。
内田裕也 / 中原裕也

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“舞台「NiHiL〜COLOR CROW another fate〜」” への3件の返信

  1. 主演、演出、脚本、私たちの目に見えないようなことまでーー本当にお疲れ様でした。
    個人的にカラクロシリーズの中では黄靭が一番好きだったのですが、それを大きく超えてニヒステが大好きです。何より、椿泰親推しとしては司令官としての彼ではなく等身大(?)の椿泰親が見られた事が本当に嬉しかったです。
    私にとってカラクロは救いだし、今回も本当に楽しかったのですが、同時に終わる事を考えてしまって苦しくなってしまうのは初めてのことでした。千秋楽も観劇させていただきましたが、今日が最後なんだと思うと面白いシーンなのにずっと涙が止まらなくて、裕也さんたちが作り上げてくださったものの大きさを改めて実感しました。言葉が下手なのでうまく伝えられませんが、生きてて良かった、幸せだと心の底から感じられた5日間でした。終わってしまったのはたまらなく寂しいけれど、それでも観劇で感じた幸せも苦しさも、今感じている寂しさも、ニヒステに触れて生まれた感情全てが愛おしいとさえ思っています。本当にありがとうございました。
    新作、スピンオフ、再演…どんな形であっても待っているので、ぜひまた椿泰親に合わせてください。それから裕也さんの描くカラクロを見せてください!

    何から何まで、本当にお疲れ様でした。
    お疲れの中ブログも更新いただきありがとうございます。ゆっくり休んでくださいね。

  2. でりこさん、応援ありがとうございました。

    皆さんそれぞれが期待していたストーリーになっているかは分かりませんが、自分の中で出来ることは今回全てやったつもりなので、それを喜んでもらえることが何よりの癒しです。
    今後も本編の続編、またNiHiLという名で他のキャラクターを主役に据えた作品もスピンオフシリーズとしてはアリなのかもと思っていたり。
    何しろCOLOR CROWの火を消さぬよう、関係各所に働きかけ続けていきます。
    これからもカラクロを宜しくお願いします☺️

    内田裕也

  3. カラクロ NiHiL お疲れ様でした!!今回は観劇出来なかったのですが皆さんのレポ見たりととっても嬉しい気持ちになってカラクロがほんとにすきだなあと実感しました。福丸の出番が多めと聞いてめちゃくちゃ福丸環最愛の私にとってはとっても嬉しかったです!これからもずっとカラクロが大好きです!!!ほんとにお疲れ様でした!!また会える事を楽しみに待ってます♡

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